ストーリー

第七話:深淵の魔女

「ワタシは必ず復活する!巨人族を率いて貴様らを根絶やしにしてくれよう・・・!」

盛大な宴の中、浮かない表情で眉をひそめる神「オーディン」がいました。

エルフ族、北欧大地の神々、天使の力によりグルヴェイグが倒されたこの夜、
ユグドラシルには勝利を祝福する鐘が響き渡り、
アスガルドの広場では祝福の炎が灯され、宴が続いています。
存在が消滅する間際にグルヴェイグが放った一言が今でも神、オーディンを悩ませ続けていたのです。
彼は人知れず、グルヴェイグの陰謀の真相、巨人族の企みについて考えを巡らせていました。

そんなオーディンのもとへ虹の守護者ヘイムダルの通達により、
彼方の地に生息する巨人族が徒党を制して、北欧大陸に集結していることが明らかになりました。

ヘイムダルが巨人族から奪った密書をオーディンに渡すと彼の表情はまたたく間に怒りに満ち溢れ、
広場に怒号が響き渡りました。

「馬鹿な・・・・・・!悪しき魔女ヘルが巨人族と・・・・・・!!許さん、絶対にだ!」

オーディンの叫び、密書の内容を知った親族に不穏な空気が広がっていきます。
かつて繰り広げられた古代戦争で神々が多大なる犠牲を代償に、ようやく掴んだ勝利。
しかし、ヘルと巨人族は未だに陰謀を企てていたのです。

ヘルと巨人族に憎しみを抱く目で遠き地へ目をやると、
アスガルドの城門にある人影に気付きました。
身の丈ほどもある巨大な鎚を抱いた男が佇んでいます。
「敵が分かった。先手が打てるだけ良しとしようじゃないか、オーディン」

「トール!?久しいな、お前に任せていたドワーフの状況を聞かせてくれ」
人間でありながら、一騎当千の働きを見せるトールの出現に落ち着きを取り戻したオーディン。

「・・・・・・安心しろ。全て片付けた。ドワーフは我等の仲間となった。
ヘルと巨人族の企みを知った以上、手加減はいらない。正面から潰しにかかろう。
進行を続ける巨人族の奴らはもうじきドワーフ族と接触するだろう。
先遺舞台はオレに任せておけ。オレがヘルと巨人族の動きを探ってこよう。
トールからの心強い提案にほっと胸をなでおろしたオーディンは次の戦いへ向け、天使の背中を押した。
「それでは、頼んだぞ。トール、お前が居ない間に天使が仲間に加わった。
彼を連れて行ってくれ。きっとお前の役に立つだろう」

対深淵の魔女ヘル、巨人族への戦いの幕が今、開かれる。